恐怖病院

襲われる前に攻撃をしかけないと、傷を負ってしまうかもしれない。
浩介がこつ然と消えてしまったのを思い出して身震いをする。
自分もああなるのではないかという恐れに体が震える。

「お兄ちゃんたち……どこから来たの?」
女の子の声は涙に濡れて震えていた。

今までとは違う、不気味さは感じさせない。
だけどこれも私たちを油断させるための演出かもしれない。
警戒心を緩めないまま女の子をにらみつける。

「私を助けてくれに来たの?」
女の子がぐすぐすと鼻をすすり上げる。
その右手首にブレスレッドのようなものがつけられているのが見えた。
「それ、なに?」