恐怖病院

けれどここはどの部屋よりも暗くて足元が見えず、なかなか前に進むことができなかった。
「そうだ」

佳奈美が涙声でつぶやき、ポケットからスマホを取り出した。
電波はなくてもライトを使うことはできる。
佳奈美が照らしてくれたおかげて倉庫内の様子がはっきりと見えた。

大きな器具から消しゴムまで、色々なものが詰め込まれている。

その中には木の板なども混ざっていて、ここは病院という設定ではなく、お化け屋敷で使用されなかったものや古くなったものが詰め込まれているのだとわかった。
「誰かいるの?」

佳奈美が照らしてくれたおかげで少しだけ勇気が出て、暗闇へ向けて声をかけた。
途端に泣き声がピタリと止まる。