私の隣にはミルクアイスを頬張る貴也の姿があった。
隣にいればつい見とれてしまいそうになるので、私は自分のチョコレートアイスに専念することにする。

「そういえば、この遊園地の噂を知ってる?」
ふいに貴也にそう言われて私はアイスから顔を上げた。

貴也の頭にもクマのカチューシャがついていて、可愛くて仕方ない。
「噂って?」
可愛いと口に出してしまいそうになるのを押し留めて質問する。

「お化け屋敷の中にある一番大きな鏡に向かって『連れて行ってください』って3回言うと、鏡の中に引き込まれるんだってさ」

「えぇ? それって学校の七不思議みたい」
私は大げさにリアクションしてみせた。