恐怖病院

今のところどのベッドも異変はなさそうだ。
「出口は……奥か」
貴也が嫌そうな声でつぶやく。

出口へ向かうためにはベッドの真ん中にある通路を進んでいくしかない。
もし両側の患者が同時に襲いかかってくれば逃げ道はなくなってしまう。
なにが起こるかわからない状況で、ゆっくり物音を立てないように歩く。

少しでも物音を立てればベッドの中にいるなにかが飛び出してきそうで怖かった。
呼吸をするのもはばかられるような静寂。

病室の中央までやってきたとき、不意に切れかけの蛍光灯がパンッと音を鳴らして破裂したのだ。
「きゃっ!?」
頭上に降り掛かってきた蛍光灯の欠片に佳奈美が身をかがめる。