笑顔が連鎖したときは心がウキウキしてくる。
「いいなそのカチューシャ。みんなでつけるか」
貴也がクマカチューシャに手を伸ばしてきてドキリとする。

頭を撫でられているわけでもないのに、顔がカッと熱くなってしまって思わずうつむいた。

いつもの調子で会話できればいいのだけれど、なんとなく意識しはじめてからはそれが難しくなっていた。

そんな私と貴也を見ていた佳奈美が近づいてきた。
「今日、貴也とふたりきりにしてあげるね」

背をかがめてこそっと耳打ちしてくる。
「え、な、なんで!?」

思いがけない言葉に後ずさりして声を裏返す。
あわあわしている間に佳奈美が楽しげに笑った。