恐怖病院

「とにかく出口へ向かおうぜ。ここにいたらまだあの看護師がくるかもしれねぇ」
浩介が貴也の肩を叩いてうがなす。
「そうだね、先を急ごう」

佳奈美もそう言い、私たちは暗い通路を再び歩き出したのだった。

☆☆☆

鏡の中のお化け屋敷には私たち以外のお客さんの姿はなく、遠くから悲鳴が聞こえてくることもなかった。
自分たちの呼吸音と足音しか聞こえてこない静かな空間に、妙に緊張感が高まってくる。

またさっきみたいな看護師が出てきたらどうすればいいのか、ずっと考えていた。
「見てあれ!」
突如佳奈美の声が聞こえてきて全員が足を止めた。