恐怖病院

「ダメ言えない」
「言って!」
「言えないよ!」
言い争いをしている間にも視線はジッと鏡に釘付けになっていた。

みんなが笑っている。
私も笑っている。
だけどこれは本当に私の姿なの?

こんなに怖くて、逃げ出したいのに、どうして笑っているの?
「真希、最後は一緒に言おう」
貴也に言われてなにかがプチンッと切れる音がした。

それは理性を守る音。
絶対にダメだとわかっているのに、その瞬間どうでもよくなってしまった。
「みんなで一緒に言おう。せーの!」

「連れて行ってください」
貴也の掛け声と共に最後は私も一緒に言った。