恐怖病院

再び頭の中の聞いてきが鳴り始めていた。
今ならまだ引き返せる。
「ね、ねぇ、やめとこうよ。普通にお化け屋敷を楽しむだけじゃダメ?」

みんなを引き止めるための言葉が弱々しく響く。
こんなんじゃ理解してもらえないと思っていても、怖くてなかなか言葉にならない。

「なに言ってるの真希。怖いのに頑張ってここまで来たんでしょう?」
佳奈美が私の腕を掴んで説得するように言った。
「そうだけど……」

うまく言葉にならなくて口ごもってしまう。
怖いのは苦手。

だけど楽しもうと思ってここまで来た。
でも、もう限界。
だって、鏡の噂はお化け屋敷の内容には含まれていないはずだし。
「大丈夫だって」