「でも、今確かに……」
鏡の中の自分が笑った気がしたのに。

だけど他の3人はそんなことお構いなしに鏡を見つめている。
鏡はかなり年代もののようで、外枠はたくさんの装飾がつけられている。

四隅にはバラの形をした装飾品が、そして側面には蔦のようなものが彫り込まれている。
あまり見たことのない姿見はとても高級そうだ。
「これが噂の鏡? 普通の鏡だね」

「だな。それで、どうすりゃいいんだ?」
佳奈美と浩介が同時に貴也へ視線を向ける。
「全員鏡の前に立って」

貴也の声にビクリと反応する。
知らず、鏡に見入ってしまっていたみたいだ。
我に返ると本当にこんなことをしてもいいのか、不安が胸に膨らんでいく。