そのとき「あった!」と、声を上げたのは貴也だった。
振り向くと貴也と浩介は掃除道具入れのドアを開けて中を見つめていた。

貴也と浩介のふたりはさっきから鏡を探していたはずだ。
あったということは噂の鏡を見つけたということに違いない。
そう理解した瞬間、足が凍りついたように動かなくなった。

これ以上深入りしてはいけないと、頭の中で警笛が鳴る。
「ねぇ、鏡とか噂はもういいから、先に進もうよ」
動けないまま声をかけるが、私の隣を佳奈美がすり抜けて行った。

その顔はまた笑顔に戻っている。
お目当てのものを見つけて嬉しいんだろう。

「真希もこっち来いよ!」
貴也に手招きされても動けない。