通路に出てため息交じりに佳奈美が言った。
想像以上に本格的な作りになっているみたいで、佳奈美も当時の余裕そうな表情は消えてしまっている。

貴也と浩介だけはまだくすくすと笑顔を見える余裕があるみたいだ。
もちろん、私にはそんな余裕は残っていなかった。
「真希、涙目になってる」

佳奈美に指摘されて私は目元をぬぐった。

次々と起こる怪奇現象が怖くて、知らない間に涙が滲んできてしまっていた。
「まだまだ、本番はここからだぞ?」
浩介が興奮気味に言い、貴也へと視線を向けている。
どういう意味だろうと思って私も貴也を見つめる。

「実は大きな鏡があるのは次の部屋なんだ」