「それに、こっちも見てほしい」
次に貴也が取り出したのは一冊の古い本だった。
開いてみるとそれは英語で書かれていて読むことができない。

「このページのあの鏡のことが書かれてるんだ」
貴也はそう言うと英語で書かれている説明をスラスラと読み上げはじめた。

「これは魔女が使用していた鏡です。この鏡の前で呪文を三回唱えると、鏡の中に入ることができます。鏡の中はあの世でもこの世でもありません。どちらの世界の人間も存在することのできる空間があります」

「なんだよそれ、聞いた話と違うじゃねぇか!」
浩介が目を丸くする。
経営者から聞いた話では、あの鏡の持ち主は病気で死んだというものだった。