貴也は早口で説明しながらカバンの中から印刷した資料を取り出して見せてくれた。

それには15年前に大きな家が火事になってしまったことと、逃げ遅れた小学生の女の子が死亡したことが書かれていた。

「これがその子の写真だ」
白黒だけれど、記事には写真も載っている。
それを見た瞬間呼吸が止まった。

写真の女の子は鏡の中の世界でぬいぐるみを手渡した、あの子そっくりだったのだ。
「もしかして名前はユウリちゃん?」
「どうして知ってるんだ?」

「鏡の世界にいた子だ」
貴也からの質問に答えたのは浩介だった。
浩介は消えた後もずっと私の近くにいてくれたから、一緒に見たり聞いたりしていたみたいだ。