消えてしまった貴也を前に私はしばらく動くことができなかった。
あの大きな棚の下敷きになり、苦しみながら消えてしまった。

ずっと私を支えてくれていた存在が急に手から離れてしまった絶望感に立ち尽くす。
気がつけば資料室でひとりぼっち。
ガタガタと恐怖に震えて、飲み込んだはずの涙がとめどなく溢れ出していた。

みんな消えてしまった。
浩介も佳奈美も渚ちゃんも貴也も。
大切な人はひとりも残っていない。

「うぅ……」
心が痛くて苦しくて、その場にしゃがみこんでしまった。

せっかくここまで頑張ってきたけれど、もう無理だよ。
出口はすぐそこでもひとりで脱出するなんて……!