通路の右側にある棚全体が斜めに傾きはじめていたのだ。
それは通路を進み始めたときから始まっていた異変だけれど、ゆっくりだったから気がつくのが遅れたのだ。

後方で資料がバラバラと落ちてくる。
それは普通の紙でできているようで床に突き刺さるようなことはなかった。

だけど大きな棚が倒れてくれば大怪我を負ってしまうかもしれない。
「危ない!」

貴也が叫んで私の体を押し倒した。
次の瞬間、たくさんの資料が頭上から降り注いできた。
バサバサとホコリを撒き散らしながら床に散乱する。

だけど視界が悪くてなにが起こっているのか理解が追いつかなかった。
体に痛みはないし、怪我もないみたいだけれど……。