私も同じようにホウキを握りしめてゆっくりと進んでいく。
あの子供たちがいつ出てくるだろうかと緊張していたけれど、何事もなく通路の半分までを歩いてきた。

相変わらず周りからは資料が落下する音が聞こえているけれど、この通路ではひとつも落ちてきていない。

「貴也、走らない?」
「そうだな。大丈夫そうだしな」
貴也が少し肩の力を抜いたのがわかった。

だけど警戒心はそのままだ。
周囲を伺いながら早足になる。

もうすぐで通路が終わる。
もう大丈夫だ!
そう思ったときだった。

ギギギッと聞き覚えのない音がすぐ近くで聞こえてきた。
貴也がホウキを握り直すけれど、異変はすでに起こっていた。