「このまま一気に出口まで走ろう」
敵が出てこない内に駆け抜けるつもりらしい。
私は頷いて貴也と同時に駆け出した。

けれどそれもつかの間、突然前方の資料が落下してきたのだ。
棚から落ちてきた分厚い資料はゴッと鈍い音を立てて床に突き刺さっている。

資料の先端は刃物みたいに鋭くなっていることがわかった。
今のに当たっていればすぐにでも消えてしまっていただろう。

ゾッと背筋が寒くなり、落ちた本から距離を取る。
貴也はホウキを握りしめて周囲を確認しているけれど、やっぱり私たち以外に人の気配は感じられなかった。

「この資料が勝手に落ちてきたのかな？」
「わからない。でも、そうだとしたら……」