恐怖病院

無音でいるのが恐ろしいから、ふたりでアニメの主題歌を口ずさんだ。
そしてしばらく進んだとき、前方に黒い人影が見えて私は足を止めた。

それと同時に渚ちゃんも止まり、目を開けた。
「誰は誰?」
「わからない」

まだ遠くて顔は見えない。
だけど子供にしては背が高いみたいだ。
もしかしがら看護師かもしれない。

私は左手でホウキを握りしめ直した。
そのときだった。
こちらに気がついた人影が大股で近づいてきたのだ。

しかも相手も長い棒のようなものを持っている。
「注射器じゃないみたい。あれで殴られたら大変!」

すぐに来た道を引き返す。
けれど後からついてくる足音はどんどん近くなっていく。