恐怖病院

ユウリちゃんは今までミッションをクリアした人はいないと言っていたから、渚ちゃんもその情報を知らなかったんだろう。

「先に行くしかないよね」
薄暗い通路の先をジッと見つめる。
看護師はいなかったはずだけれど、変化している可能性もある。

「お姉ちゃん、怖いよ」
ここに来て渚ちゃんが初めて弱音を見せた。
今まで気丈に振る舞ってくれていたけれど、豹変した子どもたちを見て心が折れてしまったのかもしれない。

「大丈夫だよ。怖かったら、目を閉じてていいからね」
そうささやくと渚ちゃんは小さく頷いて目を閉じた。
その目には涙が滲んでいる。

目を閉じた渚ちゃんと共にゆっくり通路を進んでいく。