恐怖病院

「だって私が生まれたのはここだもの。お姉ちゃんたちだって生まれた場所のほうがいいでしょう?」

そう質問されると返事ができなかった。
鏡の世界よりも元の世界のほうがいいに決まっている。
劣悪な環境に見えても、ユウリちゃんからすればここにいるのが一番いいのかもしれない。

「私は大丈夫。ぬいぐるみがあるから、もう寂しくない」
私を元気づけるようにユウリちゃんが言った。

その笑顔に嘘はないと思う。
「ふたりはミッションをクリアしたから後は外で出れば元の世界に戻れるよ。もちろん、全員でね」

ユウリちゃんはまるですべてを見透かしたかのように付け加えた。
「ここで消えてしまった友達も戻ってくる?」