恐怖病院

わけがわからず聞き返すと、背の低い渚ちゃんがその場にしゃがみこんだ。
そしてベッドの下を指差したのだ。
同じように身を屈めて確認してみると、そのベッドの下には女の子の姿があったのだ。

他の子供達と同じ入院着に血走った目。
だけどその表情は今にも泣き出してしまいそうなほど悲しげだった。

そして真っ赤な唇が時々開いて何かをつぶやいている。
「なにを言っているのか聞き取れる?」

「返してって言ってる」
渚ちゃんの言葉に私は眉を寄せた。

返して?
確か現実世界でもそんな言葉を聞いたような。
記憶をたどっていたとき前方にいた男の子が牙をむいて襲いかかってきた。