恐怖病院

みんな一様に血走った目をしていて、入院着には血がこびりついていたり、燃えた後なのか穴が開いていたりする。
顔に黒いススをつけた子もいた。

「お願いやめて」
いくらホウキを持っていても後にも前にも敵がいるのはこちらが不利になる。

私はガクガクと震え始めた両足を踏ん張って子どもたちを見据えることしかできなかった。
子どもたちはさっきの看護師と同じようにゆらりゆらりと不気味に揺れながら近づいてくる。

武器のようなものは持っていないようだけれど、こちらは1度でも血が出るような怪我をしたらおしまいなのだ、油断はできない。
「あ、あの子!」
途端に渚ちゃんが誰もいないベッドを指差した。
「なに?」