恐怖病院

なにも変わった所はない、普通の鏡だ。
鏡に施された装飾は立派なもので、重さもあるのだろうということがわかる。
「もう、行こうか」

薄ら寒さを感じて掃除道具入れのドアを閉めようとした、その時だった。
鏡に映る私と渚ちゃんの後を貴也がスッと通り過ぎていくのが見えたのだ。
「貴也!?」

すぐに振り向くが、誰もいない。
もう1度よく目をこらして鏡をみつめる。
すると鏡の中に黒いモヤが立ち込めてきて、私と渚ちゃんの姿は見えなくなった。

だけど現実世界では黒いモヤなんてどこにもない。
トイレ内は相変わらず蛍光灯が点滅を続けている。
鏡に視線を戻すと、モヤの中に浩介と佳奈美の姿が浮かび上がってきた。