恐怖病院

「あら、お客さん。この人形ミッションは失敗したんですね?」
出口から出てすぐキャストの女性にそう声をかけられて、私はずっとぬいぐるみを持ったままだったことを思い出した。

逃げている間にカチューシャみたいに落としてしまったかと思っていたけれど、逆にギュッときつく握り締めて歩いていたみたいだ。

「あ、そういえば……」
本当はミッションどころではなかったと思いつつ、ぬいぐるみをキャストに返却する。

そして思い切ってキャストの顔を見つめた。
「あの、このお化け屋敷から友達が出てこられなくなったんです」
とにかく貴也を助けてもらわなきゃいけない。