恐怖病院

誰よりも長く鏡の世界にいた渚ちゃんだ。
やっぱり芯は強いのかもしれない。
「うん! こっちではなにもして来ないよね」

「そうだよ。だから怖くない。よし、行こう!」
私はたちはそうして最後の倉庫に足を踏み入れたのだった。
その中も基本的には鏡の世界とよく似ていた。

いや、鏡の世界のほうが現実の真似をしているんだろう。
倉庫内にはふたりの看護師の姿があり、どちらも衣装が血でぬれていた。
その手には大きな資料が持たれていて思わず身構える。

あれを投げつけられるんじゃないだろうかと警戒したけれど、さすがにそんな展開にはならなかった。