恐怖病院

鏡の中で見たあの非常出口が唯一のものだったようで落胆してしまう。
こんなんじゃお化け屋敷の中で本物のトラブルがあったときに脱出できないんじゃないだろうかと、心配になった。

「もう一部屋で終わりだけれど、大丈夫そう?」
渚ちゃんはうんうんと頷く。
本当はもう嫌なのだろうけれど、先へ進むためにそう返事をしているように感じられた。

「鏡の世界よりも、全然怖くないよね?」
わざと明るい声で質問すると、渚ちゃんか顔を見上げてきた。
そこでニッコリと微笑み返す。

「注射器やバインダーで攻撃して来ないし、もし攻撃されて怪我をしても消えたりしないよ?」
少しだけ表情を明るくして渚ちゃんが答える。