恐怖病院

各所に監視カメラがあって客の動向を見ているはずだけれど、巧妙に隠してあってそれもどこにあるのかわからなかった。

通路でこんなふうに突っ立っているよりもやっぱり先へ進んだほうが早そうだ。
再びあるきだすと次はナースステーションだった。
鏡の世界で3人のナースたちから逃げるために貴也が囮になってくれたことを思い出した。

その貴也は今はいない。
悲しみが湧き上がってきそうになり、どうにかそれを押し込めた。
今は私と渚ちゃんしかいないんだから、私がしっかりしなきゃいけない。

私は隣の渚ちゃんにほほえみかけてナースステーションのドアの前に立ったのだった。