恐怖病院

医師と看護師の両目からドロリとした血の涙が流れ出したのだ。
それと同時に「キィィィィ!!」と甲高い奇声を張り上げる。

二人の口には大きな牙があり、手術台に乗っている子供にかみついたのだ。
予想外の展開に「ひっ」と悲鳴をあげて駆け出した。

まるで吸血鬼みたいなふたりの行動は後方でなおも続いている。
手術室から飛び出して歩みを緩めてから、私はまた大きく息を吐き出した。

渚ちゃんは自分の胸に手を当ててはぁはぁと短く息をしている。
「大丈夫?」
「大丈夫。ちょっとビックリしただけ」