恐怖病院

そう思って手術室のドアの前に立つ。
真っ赤なドアが実際の手術室のように左右に開く。
嫌な音が響くかと思いきや、ウィンと短い駆動音がしただけだった。

中央に手術台が置かれ、その隣に医師と看護師、そして手術台の上には子供の患者が横になっている。

入り口から見てもその患者は作りものであることがわかった。
おそらく、動き出すことはないはずだ。
私は渚ちゃんの手を握り直して手術室を進んでいく。

そのとき、こちらの動きに合わせて医師と看護師が視線を向けてくることに気がついた。
首がジワリジワリと動いていて、その動きが人間っぽくなくて気味悪い。
「こっちを見てる」
渚ちゃんが呟いたそのときだった。