ふと目を開けるとそこはお化け屋敷の大鏡の前だった。
トイレのような匂いが鼻を刺激している。
ギュッと手を握りしめられたので見てみると、隣には渚ちゃんの姿があった。
「渚ちゃん無事だったんだね」
とにかく小さな来が無事だったことに安心してから、ふと周囲に違和感があることに気がついた。
さっきまで反転していた世界にいたけれど、今度はそれが元に戻っている。
「もしかして私たち、元の世界に戻ってきた?」
周囲を見回して呟くと、渚ちゃんが頷いた。
だけどその顔は険しくてちっとも嬉しそうには見えない。
「じゃあ、貴也もすぐに戻ってこられるね!」
明るい声で言うと、渚ちゃんが私を見上げてきた。
そして「戻ってこられなくなっちゃったんだよ」と言ったのだ。
「なにそれ、どういうこと?」
貴也も出口の目前まで来ていた。



