魔法使いピピン✡きょうもしゅぎょうちゅう!

 ピピンのかたが、びくりとふるえます。
 まほうつかいの森には、まだまだしょうたいふめいのいきものが、たくさんすんでいます。
 見ならいまじょのピピンでは、かなわないいきものもいます。
 ピピンは、ふるえる手で、まほうのステッキをかまえます。
「どうしよう。わたしひとりで、できるのかな……」
 がさがさがさっ。
 しげみはあやしく、もりのうすくらやみで、うごめきます。
「ひいいいいいいっ。こないでっ」
 ピピンは、あんまりにもこわくて、そのばでうずくまってしまいました。
 そのとき、ぴい、という小さななき声が聞こえます。
 しげみのなかから出てきた、子ネコのようないきものからでした。
 あらいたてのブランケットみたいな、ふわふわのからだ。
 しっぽのかたちから、ライオンのからだに見えます。
 しかし、かおには、大きなまっくろのくちばし。
 ワシのくちばしです。
 せなかには、りっぱなワシのつばさが生えています。
「あなたは、グリフォン? どうしてこんなところに」
 グリフォンはほんらいなら、おとなのライオンくらいの大きさ。
 この子は、子ネコくらいしかありません。
 どうやら、子どものグリフォンのようです。
 グリフォンは、まほうつかいの森にある、いちばんふかい谷にすんでいます。
 ここからは、かなりはなれているのに、どうしてこんなところにいるのでしょう。
「もしかして、まいご?」
 グリフォンが、かなしそうになきます。
 しんじゅの海から、グリフォンの谷は、まったくちがうほうこうです。
 でも、子どものグリフォンをほうっておくなんて、ピピンにはできません。
「行こう。グリフォンの谷まで、いっしょにいってあげる」
 ぴい、とグリフォンが、うれしそうになきました。
 たいようは、空のまんなかにうかんでいました。
 ピピンは、来た道を右にまがり、すすんでいきます。
 グリフォンといっしょに、谷をめざして、あるきはじめました。

 ☆ めいろ ☆
 まじょ先生のいえから、グリフォンの谷へのめいろだよ。
 エメラルドをひろいながら、いこう。
 まだ、しんじゅの海へはいかないから、ちゅういしてね。
 ピピンとグリフォンといっしょに、まほうつかいの森をぼうけんしよう!

 たいようは、アップルパイみたいに、まっかになっています。
 ゆうがたごろ、ピピンたちはようやく、グリフォンの谷につきました。
 谷は、どこまでもふかくて、そこが見えません。
「まほうのホイッパーで、おりてみよう」
 ピピンは、グリフォンをだっこして、ホイッパーにまたがると、谷そこへと、ゆっくりおりていきました。
 どこまでも、どこまでもつづく、グリフォンの谷そこ。
 いったいいつまで、おりればいいのか、わからなくなってきたころ。
 ようやく、そこが見えてきました。
 そこには、たくさんのグリフォンたちがいました。
 ホイッパーからおりると、一体のおとなのグリフォンが、ピピンにちかづいてきました。
「――あなたは、まほうつかい?」