魔法使いピピン✡きょうもしゅぎょうちゅう!

 まじょ先生は、ピピンに、みどり色の石をわたしました。
 エメラルドという、ほうせきです。
 花のようせいがあつめた、クローバーのみつをつけて、まほうじんをかきます。
 ピピンはさっそく、エメラルドにクローバーのみつをひたします。
 大きなゆかに、クローバーのみつで、まほうじんをかきあげると、にぎりしめたエメラルドをひたいにあて、じゅもんをとなえます。
「パッピン ピピンプ ペペペン ポン。わたしのパートナーよ、あらわれて!」

 ☆ まほうじんをかいてみよう! ☆
 うすいせんをなぞって、まほうじんをかいてみよう!
 かけたら、ピピンといっしょの、まほうのじゅもんをとなえよう。
 あなただけの、パートナーはだれかな?

 シーン、という音が、きこえたきがしました。
 まほうじんからは、やっぱりなにもあらわれません。
「やっぱり、なんにもおこらない。まほうじんは、まちがっていないはずなのに!」
 ピピンは、エメラルドでクローバーのみつを、まぜまぜ。
 そんなピピンの手を、まじょ先生がパチンとはじきます。
「おやめなさい。おぎょうぎがわるいですよ」
「だって。わたしもはやく、パートナーがほしいんです」
 いま、ピピンががんばっているのは、パートナーをしょうかんするまほう。
 まほうつかいに、パートナーはつきもの。
 くろねこ、こうもり、へび、とかげ……まほうじんをとびらにして、じぶんのちからにあった、さまざまなパートナーがしょうかんされます。
 まわりのおともだちは、もうパートナーをしょうかんしています。
 リドルは、りす。
 ビビットは、カメレオン。
 モーリーは、きつね。
 しょうかんできていないのは、ピピンだけ。
「まじょ先生。わたしのまほうじん、なにかへんでしょうか」
「ピピン。あなたには、まだたりないものがあるようです」
「……え?」
「この、まほうつかいのもりを、おくにぬけると、しんじゅの海があります。そこへ、むかいなさい。あなたにたりないものが、きっと見つかるはずです」
「……わかりました」
 まじょ先生にいわれ、ピピンはしょんぼりしながら、先生のいえを出ました。
 森では、ホイッパーはあぶなくてつかえません。
 まだ見ならいのピピンは、あまりたかくは、空をとべないのです。
 しんじゅの海は、まじょ先生のいえから、ひだりへまっすぐに行けば、つくはずです。
 あるきはじめたピピンでしたが、まじょ先生にいわれたことが、あたまからはなれません。
 まるで、にがいおくすりをのんだときのような気分でした。
「わたしに、たりないものって……なんだろう」
 だから、わたしにだけパートナーが、きてくれないかな。
 みんなにはあって、わたしにはたりないもの。
 それって、いったいなんだろう。
「……やっぱり、わたしじゃだめなのかな」
 ぽつりというと、目の前のしげみが、がさりとゆれました。