「……考えておきます」



私はそれだけ答えて、その場を去った。

何だか谷原先輩に腹が立ってきたから。



(好きな人に恋人がいるってことだけでも、きっとすごくショックなはず。それが偽彼女って知ったら、あの子はどんな気持ちなんだろう)



「考えておく」とか言っても、私の気持ちは決まっていた。



(私は関わらない。先輩が自分で誠意を持って断るべきだよ)



だけど、翌日。

私の気持ちが百八十度変わってしまう出来事が起きた……。