指先の背伸びは恋心を秘めて

(……本当に?)



下を向いたら、私の指先が視界に入った。

周くんが一生懸命に塗ってくれた、ベビーピンク色のマニキュア。

少しでも近づきたくて。

本物の恋人同士になれたらって願って。



精一杯の背伸びをした、私の恋心の証。






(忘れられるはずなんか、ない)







実らなくても。

周くんの心に私がいなくても。

この気持ちをなかったことになんか、したくない。



だって、私の大切な初恋だから。



「……周くん」

「ん?」



まだしょんぼりしている周くんの目を、じっと見た。

私がうつっている。



「迷惑なんて言わないで」

「えっ?」

「私は偽彼女だから、今から言うことは周くんにとっては迷惑だろうけれど」

「?」



「私、本当は偽彼女から、本物の恋人になりたいって思ってた」



「……っ!」



「周くんのことを、好きになったから」

「玲奈ちゃん……」

「周くんには好きな人がいるのに、本当に迷惑だよね、ごめん。でも私……」