指先の背伸びは恋心を秘めて

「そうなんですね」



私はチラッと彼女達を見た。

するとやっぱり、
「げっ、なんか睨まれた」
とか、
「彼女なのかな? 怖っ!」
とか、色々言われてしまう。



「……怖くないし。睨んでいるはずがないし」



私の代わりに周くんが、ちょっと声を張って言う。

そのことで彼女達は焦ったのか、そそくさとどこかへ移動した。



「ごめん、オレのせいで嫌な思いばっかり」

「えっ? 全然……。誰かに守ってもらったの、初めてです」



誰かひとりでも自分のことを守ろうとしてくれるのは、こんなにも心強いものなのだと、今日初めて知った。



(私も周くんのことを守りたい)



こういう怖さとか、心細さが、周くんから取り払われたならいいのに。



ホームのアナウンスが流れる。

私が乗る電車が来るらしい。



「今日、ありがとう。楽しかった」
と、周くん。



私も頷く。

すごく寂しい時間に思えた。

今日はもう、お別れしなくてはいけない。