指先の背伸びは恋心を秘めて

この指先には、恋心が秘めてある。

近づきたくて、背伸びした指先。

それだけで、私は胸がいっぱいになる。



(あぁ、私、なんでこの人の偽彼女なんだろう?)



どうして目の前の好きな人は、偽彼氏なんだろう。



(本物の恋人同士になりたい)



強く願ったら叶うとか……、ないかな?



「オレが塗ったからガタガタの仕上がりだけど、でも、可愛い」
と、周くんが頷く。



「玲奈ちゃんに似合ってるよ」



……もうこのネイル、このまま一生落ちなかったらいいのに。






遅くならない内に、周くんと駅まで帰って来た。

ホームで電車を待っていると、他校の女子が周くんを見て騒いでいた。

周くんは気にしていないように見えたけれど、
「大丈夫ですか?」
と尋ねると、
「うーん、ちょっと怖い……」
と、呟いた。



「家までつけて来られたり、しつこく連絡先聞かれたりして、ちょっとこういうの、正直怖い」