指先の背伸びは恋心を秘めて

いよいよ顔に熱を持ってしまいそうになる。



(ダメ。ドキドキしないで)



必死で気持ちをおさえる。

それでも認めてしまいそう。



話を逸らすために、
「これ、塗るの楽しみです」
と、さっきゲームセンターでとってもらったネイルセットを取り出す。



「ねぇ、それ、オレが塗ってもいい?」
と、周くん。



「えっ?」

「今、塗ってもいい? ここ屋外だし、多分お店の人にも怒られないと思うし」

「塗ったことがあるんですか?」

「ないよ」



周くんはニコニコ笑って、
「女の子のおしゃれ、初めて手伝う」
と、私の手をとった。



(……ダメだ)



ドキドキが止まらない。

ダメって何度も自分に言い聞かせているけれど。

好きにならないなんて、無理。



「玲奈ちゃんの手、小さくて可愛いね」
と、周くんは自分の手と合わせてみせて、
「ほら、こんなに違う」
なんて、また私をドキドキさせる。



……好き。