指先の背伸びは恋心を秘めて

(えっ、なんか変なこと言っちゃった?)



また不安になっていると、
「玲奈ちゃんが笑った」
と、周くんが嬉しそうに笑った。



(この人の前で、必要以上に自分の言動に不安にならなくても良いのかもしれない)



だって、受け止めてくれる。

否定したりしない。



心の中がじんわりあたたかくなった。



頼んだメニューをレジ横のソファーで待っていると、隣に座ったお母さんに抱っこされている小さな男の子と目が合った。

じっと私を見ている男の子。

何歳くらいなんだろう?

手には車のおもちゃを持っている。



どうしていいのかわからず、ニコッと笑ってみた。

男の子もニコッと笑ってくれる。

嬉しくなって周くんを振り返ってみると、周くんが男の子に顔をくちゃくちゃにして変な顔をしてみせていた。



「えっ」

「あ、ごめん。可愛くてかまっちゃった」



きゃっきゃっと笑う男の子。