指先の背伸びは恋心を秘めて

周くんは優しい笑顔になって、
「それ塗ったら、見せてね」
と、言った。



ドキッとした。

今日、何度目なんだろう?



(だって、本物の恋人同士みたいな会話だから)






周くんが「お茶しよう?」と、三階にあるカフェに連れて行ってくれた。



「何する?」

「アイスコーヒーで」

「アイスコーヒーかぁ、それもいいなぁ」
と、周くんは少し迷ってから、結局生クリームがトッピングされたココアラテを選んだ。



(私も可愛いメニューにすれば良かったかな)
なんて少し不安になっていると、
「アイスコーヒーって美味しいよね。マジで悩んだけど、ココアラテも生クリームも好きだからなぁ」
と、まだ悩んでいるような口調で周くんが腕組みをした。



「甘いもの、好きなんですか?」

「うん、好き。コーヒーも好き。美味しかったらなんでも好き」

「あはっ、なんか食いしん坊みたいですね」



思わず笑ってしまったら、周くんがぽかんとした表情をしている。