指先の背伸びは恋心を秘めて

「この色?」
と、周くんが機械にコインを入れながら確認する。



私は「お願いします」と頷く。



様々なメイク道具が、それぞれセットになったパッケージが棚に並んでいる。

周くんは本当にこのゲームに慣れているらしく、ニ、三度、角度を変えて確認しながらボタンで操作し、私が欲しいネイルセットを狙って掴んだ。



「わっ! すごい、掴んだ!」
と、思わず声に出してしまう。



そのまま、ガコンと音を立てて取り出し口に繋がる筒にネイルセットを入れる。



「えっ、とれたんですか!?」

「とれましたよ、はいどうぞー」
と、取り出し口からネイルセットを出して、私に渡してくれる。



「すごい!!」

「あはっ、玲奈ちゃん、目ぇキラキラしてる」

「本当にとっちゃったから!!」

「言ったじゃん。結構得意なんだよ」



嬉しくて、声が自然と弾んでしまう。



「ありがとうございます、大事にします」