指先の背伸びは恋心を秘めて

それから周くんの友達はカラオケに行くと言って、私達も誘ってくれたけれど、周くんが「ごめん、また今度」と断っていた。



「カラオケ、行きたかった?」

「いえ、歌はド下手なので」

「あはっ、逆に聴きたいかも」



周くんが楽しそうに笑ってくれて、嬉しくなる。



二人でゲームセンターの中をウロウロする。

ボタン操作でぬいぐるみを掴んで手に入れるゲームが並んでいて、
「何か欲しいぬいぐるみとか、ある?」
と、聞いてくれた。



うさぎのぬいぐるみ、くまのぬいぐるみ、どれも可愛いなぁと、私は周辺を見てまわる。

しばらく見ていると、目に飛び込んできたそれに釘付けになった。



「こ、コレが欲しいです」



周くんに指差したそれは、ネイルのセットだった。

ベースコートとベビーピンク色のマニキュア、トップコートが入っている。



(さっき大人っぽく見えたからって、すぐに欲しがるなんて私……子供っぽいかな)



「オレ、結構得意なんだよね。こういうゲーム」
と、周くんは笑った。