指先の背伸びは恋心を秘めて

「彼女いるとか知らなかったー」
と言いながら、周くんの友達は、
「周のことをよろしくねー!」
なんて、小さな子みたいなはじけた笑顔を私に向ける。



「玲奈ちゃん、周になんかされたらすぐ言いなよ? 私達が周をとっちめるから」
と笑った背の高い女子が、長い髪の毛を耳にかける。



その時、彼女の指先がキラリと光った。

淡いパープル色のネイルに、小さなシルバーストーンが美しい。



(キレイ……)



学年は一年しか変わらないのに、ずいぶん大人っぽく見える。

周くんが「何もしないから」と言って、背の高い女子と笑った。



(お似合いのカップルって感じ……)



まさに王子様とお姫様。



いいな。

私だって、周くんに近づきたいな。

隣にいても自然に恋人同士に見えるようになりたいな…………。



(……って!! 何を考えてるんだ、私は!)



私達は偽カレカノなんだから!!