指先の背伸びは恋心を秘めて

だけど、さりげなく歩調を合わせてくれたりするところに、ドキッとしてしまう。



(ダメダメ、私は偽彼女なんだから)



恋人として隣にいるんじゃない。

周くんを守るために、隣にいるんだ。



気を引き締めていると、商業施設の二階にあるゲームセンターで、周くんのクラスメイトに遭遇した。



「あれ? 周、何してんの?」

「帰ったと思ってたよー、一緒に遊ぶ?」



男子二人と女子三人。

周くんによると、この五人といつも一緒にいるらしい。



「周の彼女?」
と、女子三人の内、一番背の高い人が私を見た。



「お前、そういうこと聞くなよー」
と、他の人達は言うけれど、みんな私に興味津々な瞳を向けている。



「あー、うん。オレの彼女。紹介が遅れてごめん。二年の新堂 玲奈ちゃん」



周くんがそう言った。



『偽』を付けずに紹介されて、本当に彼女になったと勘違いしそうで、私は必死でドキドキをおさえていた。