指先の背伸びは恋心を秘めて

「大丈夫です」という意味を込めて、周くんの目を見て頷く。



「あれ、新堂先輩も一緒なんですね」
と言って近づいて来たのは、この間周くんに告白していた女子だった。



「あれ、二人って知り合いだったの?」

「谷原先輩、嫌だなぁ。そんなわけないじゃないですかー! でも有名人だから知ってますよぉ」

「……」



何も言わない私を見て、
「私の名前は岸村です。一年八組の岸村 春花(きしむら はるか)
と、岸村さんはにっこり笑った。



「岸村さん、オレ達に何か用事?」

「えー? 先輩になら用事がなくても話しかけますよぅ」



笑顔を崩さず私をチラッと見た岸村さん。

あんたに用事はないんだけどね、と言われているようで、なんだか体がモゾモゾする。



「悪いんだけど、今、二人で話しているから」

「私も入れてくださいっ」

「えっ……、あの、悪いんだけど……」

「お邪魔はしません。会話に混ざるだけですから」