「受験生の周くんの邪魔になりたくなくて。だから、毎日こうして会わなくても大丈夫だし、メッセージを送ってくれなくても平気です」

「えっ？」

「……えっ、何か変なことを言っていますか？」



周くんは目を伏せて、
「えーっと、うん。わかった」
と、呟く。



（あれ？）



明らかに様子がおかしい。

元気がなくなったみたいに見える。



「迷惑かけてごめんね」
と、申し訳なさそうに周くんが私に謝った。



「ち、違う！」



思ったより大きな声が出たので、慌てて周りを見た。



「迷惑じゃない、です。あの、迷惑かけているのは、こっちなので。私が、その、こういうことに不慣れなので」

「えっ？」

「カップルがどのくらいの頻度で連絡を取るのか、本当にわからなくて。でもよく考えたら、私達偽物だし、受験勉強の邪魔するくらいなら連絡しなくても大丈夫って言いたくて」

「えっ！」