「すみません、お友達といるのに」

「いいよ、全然。それより何か用事? 何かあったの?」



私はふうっと息を吐いて、谷原先輩をまっすぐ見つめた。



「やります、偽彼女。偽カレカノに協力しようと思います」

「……どうしたの? この間は嫌そうだったのに」

「ちょっと心境の変化があって」



「そっか」と、谷原先輩はそれ以上のことは聞いてこなかった。



嫌がらせされて、こっちも腹が立っている。

でもそれ以上に思ったことがあった。



『マジでお願い出来ないかな? 本当に困ってるんだ。あの子のことを傷つけてしまうけれど、このままじゃオレだってつらい』



谷原先輩も、あの子に何かされている。

だからこんなに必死なんじゃないかと思った。



嫌がらせ行為をやめさせることが出来るなら、偽彼女にだってなってやる。