どのくらい歩いただろう。お兄ちゃんはずっと私の肩を抱いたまま歩いている。聡たちとの会話にショックを受けていたけれど、お兄ちゃんとの近すぎる距離にくらくらしてしまう。
「あの、お兄ちゃん」
「ん?」
勇気を振り絞って声をかけると、お兄ちゃんは立ち止まって優しく聞き返してきた。
「あの、ありがとう。もう大丈夫だから」
「……そう、か」
お兄ちゃんは名残惜しそうに私から離れる。どうしてそんな態度を取るの?そんな風にされたら、勘違いしちゃうよ。堰き止めている思いが溢れ出して、胸がどんどん苦しくなってくる。もう帰ろう、そう言おうとした時。
「響?やっぱり響だ!」
「さおり……?」
急にお兄ちゃんの名前を呼ぶ声がしてそちらを見ると、綺麗な女性が嬉しそうに駆け寄って来た。ふわりとウェーブがかかった明るい茶髪のロングに、女性らしい服装の清楚で綺麗な女性だ。
「久しぶりね。連絡したいって思ってたのに、響ったら電話もメールもなにもかも通じないんだもの」
そう言って、お兄ちゃんの腕にするりと絡みつく。もしかしてお兄ちゃんの元カノとかなのかな?お兄ちゃんは嫌そうな顔で腕を振り払おうとしているけど、さおりと呼ばれた女性は気にしない様子で腕に絡みついたままだ。
「……その子は?もしかして彼女?」
さおりさんは私に気づいて目を細める。ああ、これ、昔にも感じたことがある。お兄ちゃんの側にいる私を、値踏みするような顔。まるでお前はお兄ちゃんにふさわしくないと言わんばかりの顔で見てくるのだ。
嫌だ、ここにいたくない。ここから一刻も早く離れたい。
「この子は……」
きっとまた、ただの妹だって言われる。当たり前だ、何も間違ってない。お兄ちゃんにとって私は、「ただの妹」なのだから。わかってる。わかっているけど、やっぱり聞きたくないよ。
「お二人の邪魔しちゃいけないから、私は先に帰るね!ごゆっくり」
お兄ちゃんの声を遮るように、私は笑顔で二人にそう言って、走るようにその場から立ち去った。
「楓!」
お兄ちゃんの声が聞こえてくる。でも、振り向けない。振り向きたくない。今振りむいたら私はきっと酷い顔をしているから。
「あの、お兄ちゃん」
「ん?」
勇気を振り絞って声をかけると、お兄ちゃんは立ち止まって優しく聞き返してきた。
「あの、ありがとう。もう大丈夫だから」
「……そう、か」
お兄ちゃんは名残惜しそうに私から離れる。どうしてそんな態度を取るの?そんな風にされたら、勘違いしちゃうよ。堰き止めている思いが溢れ出して、胸がどんどん苦しくなってくる。もう帰ろう、そう言おうとした時。
「響?やっぱり響だ!」
「さおり……?」
急にお兄ちゃんの名前を呼ぶ声がしてそちらを見ると、綺麗な女性が嬉しそうに駆け寄って来た。ふわりとウェーブがかかった明るい茶髪のロングに、女性らしい服装の清楚で綺麗な女性だ。
「久しぶりね。連絡したいって思ってたのに、響ったら電話もメールもなにもかも通じないんだもの」
そう言って、お兄ちゃんの腕にするりと絡みつく。もしかしてお兄ちゃんの元カノとかなのかな?お兄ちゃんは嫌そうな顔で腕を振り払おうとしているけど、さおりと呼ばれた女性は気にしない様子で腕に絡みついたままだ。
「……その子は?もしかして彼女?」
さおりさんは私に気づいて目を細める。ああ、これ、昔にも感じたことがある。お兄ちゃんの側にいる私を、値踏みするような顔。まるでお前はお兄ちゃんにふさわしくないと言わんばかりの顔で見てくるのだ。
嫌だ、ここにいたくない。ここから一刻も早く離れたい。
「この子は……」
きっとまた、ただの妹だって言われる。当たり前だ、何も間違ってない。お兄ちゃんにとって私は、「ただの妹」なのだから。わかってる。わかっているけど、やっぱり聞きたくないよ。
「お二人の邪魔しちゃいけないから、私は先に帰るね!ごゆっくり」
お兄ちゃんの声を遮るように、私は笑顔で二人にそう言って、走るようにその場から立ち去った。
「楓!」
お兄ちゃんの声が聞こえてくる。でも、振り向けない。振り向きたくない。今振りむいたら私はきっと酷い顔をしているから。



