その時、森に大きな咆哮が響いた。イヅナが振り返ると、ヨトゥンが地面に倒れている。その体はあちこちから出血をしており、その隣ではツヤが大きく息を吐いていた。

「ツヤさん。大丈夫ですか?」

イヅナが訊ねると、ツヤがゆっくりとイヅナたちの方を向いた。

「ああ。そいつの様子は?」

「気を失っているみたいです」

ヴィンセントが答える。ツヤは男の子の方へと近付き、しばらく考えた後、「屋敷に連れて帰る。お前たちも来い」と言い、男の子を抱き上げる。

イヅナたちもツヤの後に続く。すると、空中から何かがまた落ちてきた。落ちたものがレオナードの頭に当たる。

「イテッ!」

レオナードが頭を押さえる。イヅナとヴィンセントは落ちたものを見つめた。それは懐中時計のようなものだった。

「イッテ〜。マジで痛い……」

「レオナード、大丈夫?これ、何かしら?」

「僕も見たことがないよ。でも空から落ちてきたってことは、あの男の子と何か関係ありそうだよね」

ヴィンセントは懐中時計のようなものを拾った。