ツヤとヨトゥンが戦っている真上の空に、紫色のヒビが入っている。ヒビはどんどん大きくなっていく。そして、ガラスが割れるような音が響いた。ヒビの中から男の子が落ちてくる。

「空から人が!?」

イヅナたちは驚く。ツヤも空を見上げて目を見開いたものの、ヨトゥンが槍をまた振り回し始めたため、戦闘に戻った。

「ガキ共、あの人を保護しろ!!」

ツヤはそう言いながら髪飾りの中から毒針を取り出す。もう戦いを終わらせるつもりなのだろう。

「はい!!」

イヅナ、レオナード、ヴィンセントは走り出す。男の子が落ちてきた。それをレオナードとヴィンセントの二人で受け止める。

「大丈夫ですか!?」

イヅナは声をかけたものの、黒髪の男の子は反応しない。しかし、胸は上下にゆっくりと動いている。気を失っているだけのようだ。

「こいつ、何で空から降ってきたんだ?」

レオナードが男の子を見つめる。ヴィンセントも男の子を観察した。

「この辺りじゃ見たことのない服だね。どこから来たんだろう」