あやかしと魔王の側近

「なるほど。異世界の化け物は異世界人にしか倒せねぇってわけか」

ツヤが腕を組みながらそう言うと、ギルベルトがニヤニヤしながら「ツヤでも倒せないものがあるんだね〜」と言う。ツヤの額に青筋が浮かんだ。

「テメェ……」

今にも殴り合いが始まりそうな雰囲気に、イヅナは慌てて「倒せなくても、私たちにもできることがあるはずです!何ができるか考えましょう!」と話しかける。その時だった。

「キイィィィィィィィィィィィィィィィィ!!」

ルーチェの背後から突然モンスターが現れた。モンスターが大きな腕を振り下ろす。イヅナの顔から血の気が引いた。

「ルーチェくん!!後ろ!!」

ルーチェが振り返る。しかし、振り返ると同時にルーチェの体が吹き飛ばされる。モンスターに殴り付けられたルーチェの体は、壁に思い切り叩き付けられた。

「ルーチェ!!」

全員が彼に駆け寄る。ツヤがルーチェの腕に触れた。その顔は険しい。

「脈はある。呼吸も正常だ。ただ、頭を打っているからな……」